管理図の種類と違いを一覧で解説|$\bar{X}$-$R$管理図・$p$管理図・$c$管理図はどう使い分ける?

QC検定

品質管理を学んでいると、$\bar{X}$-$R$管理図、$\bar{X}$-$s$管理図、$p$管理図、$np$管理図、$c$管理図、$u$管理図など、いろいろな管理図が出てきます。

名前だけ見ると似ていますが、使う場面はかなり違います。

管理図を選ぶときに大事なのは、次の3点です。

  1. データが「測定値」か「数えた値」か
  2. データを「群」で取っているか、「1個ずつ」取っているか
  3. サンプルサイズが「一定」か「変動する」か

この記事では、代表的な管理図の違いを一覧で整理し、それぞれどのような場面で使うのかを解説します。

管理図とは

管理図とは、工程が安定しているかどうかを時系列で確認するためのグラフです。

横軸に時間やロット番号、縦軸に平均値・範囲・不適合品率などの統計量を取り、中心線と管理限界線を引いて判断します。

管理図で見るのは、製品が規格に入っているかどうかではありません。

管理図で見ているのは、工程がいつも通りのばらつき方をしているかどうかです。

ここは非常に重要です。

たとえば、すべての製品が規格内に入っていても、平均値が徐々に上がっている場合があります。この場合、現時点では不良品が出ていなくても、将来的に不良が発生する可能性があります。

逆に、たまたま1個だけ規格外が出たとしても、工程全体としては安定している場合もあります。

つまり、管理図は「合格・不合格を見る図」ではなく、「工程の異常を早めに見つける図」です。

管理図は大きく2種類に分けられる

管理図は、大きく分けると次の2種類です。

分類扱うデータ
計量値管理図長さ、重さ、時間、温度などの測定値$\bar{X}$-$R$管理図、$\bar{X}$-$s$管理図、$X$-$R_s$管理図
計数値管理図不良品数、欠点数、不良率などの数えた値$p$管理図、$np$管理図、$c$管理図、$u$管理図

計量値とは、連続的に測定できるデータです。

たとえば、部品の直径、製品の重量、作業時間、温度、圧力などです。

一方、計数値とは、個数として数えるデータです。

たとえば、不良品の個数、傷の数、ミスの件数、不良率などです。

管理図を選ぶときは、まず「このデータは計量値か、計数値か」を考えると整理しやすくなります。

管理図の種類一覧

代表的な管理図をまとめると、次のようになります。

管理図データの種類何を見るか主な使い方
$\bar{X}$-$R$管理図計量値平均と範囲小さい群で測定値を管理する
$\bar{X}$-$s$管理図計量値平均と標準偏差群の大きさが比較的大きいときに使う
$X$-$R_s$管理図計量値個々の値と移動範囲1個ずつしか測定できないときに使う
$Me$-$R$管理図計量値中央値と範囲計算を簡単にしたいときに使う
$p$管理図計数値不適合品率サンプル数が変わる不良率管理に使う
$np$管理図計数値不適合品数サンプル数が一定の不良品数管理に使う
$c$管理図計数値不適合数検査単位が一定の欠点数管理に使う
$u$管理図計数値単位あたり不適合数検査単位が変わる欠点数管理に使う
CUSUM管理図主に計量値小さな平均変化小さなズレを早く見つけたいときに使う
EWMA管理図主に計量値緩やかな変化徐々に進む変化を見つけたいときに使う
多変量管理図複数の計量値複数特性の同時変化複数の品質特性を同時に監視する

まずは、$\bar{X}$-$R$管理図、$X$-$R_s$管理図、$p$管理図、$np$管理図、$c$管理図、$u$管理図を押さえれば、基本的な管理図の使い分けはかなり理解できます。

$\bar{X}$-$R$管理図

$\bar{X}$-$R$管理図は、計量値管理図の代表です。

$\bar{X}$は平均、$R$は範囲を表します。

たとえば、1時間ごとに製品を5個抜き取り、それぞれの直径を測定するとします。このとき、5個の平均値を$\bar{X}$管理図に、5個の最大値と最小値の差を$R$管理図にプロットします。

$\bar{X}$管理図では、工程の平均が変化していないかを見ます。

$R$管理図では、工程のばらつきが変化していないかを見ます。

つまり、$\bar{X}$-$R$管理図は「平均の変化」と「ばらつきの変化」をセットで確認する管理図です。

$\bar{X}$-$R$管理図を使う場面

$\bar{X}$-$R$管理図は、次のような場面で使います。

条件内容
データ長さ、重さ、時間などの測定値
取り方いくつかのデータを1つの群として取る
群の大きさ比較的小さい
目的平均とばらつきの変化を見たい

製造現場でよく使われる管理図です。

たとえば、部品の寸法、製品重量、加工時間などの管理に使えます。

$\bar{X}$-$s$管理図

$\bar{X}$-$s$管理図は、$\bar{X}$-$R$管理図と同じく、計量値を扱う管理図です。

違いは、ばらつきの見方です。

$\bar{X}$-$R$管理図では、群内のばらつきを範囲$R$で表します。

一方、$\bar{X}$-$s$管理図では、群内のばらつきを標準偏差$s$で表します。

範囲$R$は、最大値と最小値だけで決まります。そのため、群の中のデータが多くなると、ばらつきの情報を十分に使えない場合があります。

標準偏差$s$は、群の中のすべてのデータを使ってばらつきを計算します。

そのため、群の大きさが比較的大きい場合は、$\bar{X}$-$s$管理図の方が適しています。

$\bar{X}$-$s$管理図を使う場面

条件内容
データ測定値
取り方群ごとに複数個測定する
群の大きさ比較的大きい
目的平均と標準偏差の変化を見たい

QC検定では、$\bar{X}$-$R$管理図の方が基本としてよく出てきますが、実務では$\bar{X}$-$s$管理図も重要です。

$X$-$R_s$管理図

$X$-$R_s$管理図は、1個ずつしかデータを取れないときに使う管理図です。

$X$は個々の測定値、$R_s$は移動範囲を表します。

移動範囲とは、連続する2つのデータの差の絶対値です。

たとえば、次のようなデータがあるとします。

$10.1$、$10.3$、$10.2$、$10.5$

このとき、移動範囲は次のようになります。

データ移動範囲
$10.1$
$10.3$$0.2$
$10.2$$0.1$
$10.5$$0.3$

$X$管理図では個々の測定値を見ます。

$R_s$管理図では、前回との差が大きくなっていないかを見ます。

$X$-$R_s$管理図を使う場面

条件内容
データ測定値
取り方1個ずつ測定する
作れない
目的個々の値と短期的な変動を見たい

たとえば、1日に1回しか測定できないデータや、測定に時間やコストがかかるデータで使います。

「群を作れない計量値データ」なら、$X$-$R_s$管理図を考えるとよいです。

$Me$-$R$管理図

$Me$-$R$管理図は、中央値$Me$と範囲$R$を使う管理図です。

$\bar{X}$-$R$管理図では群の平均を使いますが、$Me$-$R$管理図では群の中央値を使います。

中央値とは、データを小さい順に並べたときの真ん中の値です。

平均よりも計算が簡単なので、手計算で管理図を作っていた時代には使いやすい方法でした。

ただし、現在はExcelや統計ソフトで簡単に平均や標準偏差を計算できるため、$Me$-$R$管理図を使う場面は多くありません。

基本的には、$\bar{X}$-$R$管理図を優先して理解すればよいです。

$p$管理図

$p$管理図は、不適合品率を管理するための管理図です。

$p$はproportion、つまり割合を意味します。

たとえば、毎日検査した製品のうち、不良品が何%あったかを管理する場合に使います。

$p$管理図では、次のような値をプロットします。

$p = \frac{不適合品数}{検査個数}$

たとえば、100個検査して不良品が3個なら、

$p = \frac{3}{100} = 0.03$

となります。

この場合、不適合品率は3%です。

$p$管理図を使う場面

条件内容
データ不適合品率
判定良品・不良品のような二択
サンプルサイズ変わってもよい
目的不良率の変化を見たい

$p$管理図の特徴は、サンプルサイズが一定でなくても使えることです。

たとえば、ある日は100個検査し、別の日は120個検査するような場合でも使えます。

不良率を見たいときは、まず$p$管理図を考えます。

$np$管理図

$np$管理図は、不適合品数を管理するための管理図です。

$p$管理図が「不良率」を見るのに対して、$np$管理図は「不良品の個数」を見ます。

たとえば、毎日100個ずつ検査して、その中の不良品数を記録する場合です。

この場合、サンプルサイズが毎回100個で一定なので、不良品数そのものを管理できます。

$np$管理図を使う場面

条件内容
データ不適合品数
判定良品・不良品のような二択
サンプルサイズ一定
目的不良品の個数を見たい

$p$管理図と$np$管理図の違いは、サンプルサイズが一定かどうかです。

管理図見るものサンプルサイズ
$p$管理図不適合品率変わってもよい
$np$管理図不適合品数一定

たとえば、毎回100個検査するなら$np$管理図が使えます。

一方、日によって検査数が違うなら$p$管理図を使います。

$c$管理図

$c$管理図は、不適合数を管理するための管理図です。

ここで注意したいのは、「不適合品数」と「不適合数」は違うということです。

不適合品数は、不良品の個数です。

不適合数は、欠点やミスの数です。

たとえば、1つの製品に傷が3か所ある場合を考えます。

このとき、不適合品数は1個です。

しかし、不適合数は3件です。

つまり、$p$管理図や$np$管理図は「不良品が何個あるか」を見る管理図です。

一方、$c$管理図や$u$管理図は「欠点が何件あるか」を見る管理図です。

$c$管理図を使う場面

条件内容
データ不適合数
傷の数、ミスの数、欠点の数
検査単位一定
目的欠点数の変化を見たい

たとえば、毎日同じ面積の布を検査し、傷の数を数える場合は$c$管理図を使えます。

また、毎回同じ枚数の書類を確認し、誤字の数を数える場合にも使えます。

$c$管理図では、検査する単位が一定であることが重要です。

$u$管理図

$u$管理図は、単位あたり不適合数を管理するための管理図です。

$c$管理図と似ていますが、検査単位が変わる場合に使います。

たとえば、ある日は100枚の書類を検査し、別の日は150枚の書類を検査する場合を考えます。

このとき、単純なミスの件数だけを比べると不公平です。

150枚検査した日の方が、ミスの件数は多くなりやすいからです。

そこで、1枚あたりのミス数のように、単位あたりで考えます。

$u = \frac{不適合数}{検査単位数}$

このようにして管理するのが$u$管理図です。

$u$管理図を使う場面

条件内容
データ単位あたり不適合数
1枚あたりの誤字数、1台あたりの欠点数
検査単位変わってもよい
目的欠点の発生率を見たい

$c$管理図と$u$管理図の違いは、検査単位が一定かどうかです。

管理図見るもの検査単位
$c$管理図不適合数一定
$u$管理図単位あたり不適合数変わってもよい

検査する量が毎回同じなら$c$管理図、検査する量が変わるなら$u$管理図です。

$p$管理図・$np$管理図・$c$管理図・$u$管理図の違い

計数値管理図は混乱しやすいので、もう一度整理します。

まず、不良品を数えているのか、欠点を数えているのかを確認します。

不良品を数える場合は、$p$管理図か$np$管理図です。

欠点を数える場合は、$c$管理図か$u$管理図です。

次に、サンプルサイズや検査単位が一定かどうかを確認します。

見ているものサイズが一定サイズが変わる
不適合品$np$管理図$p$管理図
不適合数$c$管理図$u$管理図

この表を覚えておくと、計数値管理図はかなり整理しやすくなります。

たとえば、100個中の不良品数を見るなら$np$管理図です。

100個中の不良品率を見るなら$p$管理図です。

1枚の布にある傷の数を見るなら$c$管理図です。

布の面積が毎回違うなら$u$管理図です。

CUSUM管理図

CUSUM管理図は、小さな変化を見つけるための管理図です。

CUSUMはcumulative sumの略で、累積和という意味です。

通常の管理図では、1点ごとの値を見ます。

一方、CUSUM管理図では、目標値からのズレを累積して見ます。

小さなズレでも、同じ方向に続けば累積されて大きくなります。

そのため、$\bar{X}$-$R$管理図などでは見つけにくい小さな平均の変化を検出しやすいという特徴があります。

CUSUM管理図を使う場面

条件内容
目的小さな平均のズレを早く見つける
特徴目標値からのズレを累積する
向いている場面わずかな変化が重要な工程

ただし、CUSUM管理図は通常の管理図よりも考え方が少し難しいです。

QC検定の基本学習では、まず$\bar{X}$-$R$管理図や$p$管理図などを優先して理解するとよいです。

EWMA管理図

EWMA管理図も、小さな変化や緩やかな変化を見つけるための管理図です。

EWMAはexponentially weighted moving averageの略で、指数加重移動平均と訳されます。

直近のデータを重視しつつ、過去のデータも少しずつ反映して管理します。

単なる移動平均とは違い、過去のデータに指数的に小さくなる重みを付けるのが特徴です。

EWMA管理図を使う場面

条件内容
目的緩やかな変化を見つける
特徴現在と過去のデータを重み付きで使う
向いている場面少しずつ進むズレを検出したい工程

CUSUM管理図とEWMA管理図は、どちらも小さな変化に敏感な管理図です。

大まかにいうと、CUSUM管理図は目標値からのズレを累積して見る方法、EWMA管理図は過去を含めた重み付き平均で見る方法です。

多変量管理図

多変量管理図は、複数の品質特性を同時に管理するための管理図です。

通常の管理図では、1つの品質特性を1つずつ管理します。

たとえば、直径は直径の管理図、重量は重量の管理図で見るという考え方です。

しかし、実際の工程では複数の品質特性が関係していることがあります。

たとえば、部品の長さと幅、温度と圧力、濃度と粘度のように、複数の変数が互いに関係している場合です。

このような場合に使われるのが、多変量管理図です。

代表例として、Hotellingの$T^2$管理図があります。

ただし、多変量管理図はやや発展的な内容です。QC検定の初学者であれば、まずは1変量の管理図を理解してから学ぶとよいです。

管理図の選び方

管理図を選ぶときは、次の順番で考えると分かりやすいです。

1. データは測定値か、数えた値か

長さ、重さ、時間、温度のように測定するデータなら、計量値管理図を使います。

不良品数、欠点数、不良率のように数えるデータなら、計数値管理図を使います。

2. 測定値なら、群があるかを考える

複数個を1つの群として測定しているなら、$\bar{X}$-$R$管理図や$\bar{X}$-$s$管理図を使います。

1個ずつしか測定できないなら、$X$-$R_s$管理図を使います。

3. 数えた値なら、不良品か欠点かを考える

不良品の個数や割合を見るなら、$p$管理図または$np$管理図です。

欠点やミスの件数を見るなら、$c$管理図または$u$管理図です。

4. サンプルサイズが一定かを考える

サンプルサイズが一定なら、$np$管理図や$c$管理図が使えます。

サンプルサイズが変わるなら、$p$管理図や$u$管理図を使います。

管理図の選び方まとめ

最後に、管理図の選び方をまとめます。

状況使う管理図
複数個の測定値を群ごとに管理したい$\bar{X}$-$R$管理図
群のサイズが大きく、標準偏差でばらつきを見たい$\bar{X}$-$s$管理図
1個ずつの測定値しかない$X$-$R_s$管理図
不良率を見たい$p$管理図
毎回同じ個数を検査し、不良品数を見たい$np$管理図
毎回同じ単位を検査し、欠点数を見たい$c$管理図
検査単位が変わり、単位あたり欠点数を見たい$u$管理図
小さな平均の変化を見つけたいCUSUM管理図
緩やかな変化を見つけたいEWMA管理図
複数の品質特性を同時に見たい多変量管理図

管理図と規格限界の違い

管理図を学ぶときに、管理限界と規格限界を混同しやすいです。

管理限界は、工程のばらつきから計算される線です。

一方、規格限界は、顧客や設計で決められた合格範囲です。

つまり、管理限界は工程の安定性を見るための線であり、規格限界は製品が要求を満たしているかを見るための線です。

管理図で点が管理限界内にあっても、製品が必ず規格内に入っているとは限りません。

逆に、製品が規格内に入っていても、管理図で異常な傾向が出ていれば、工程には注意が必要です。

この違いは、品質管理で非常に重要です。

まとめ

管理図は種類が多く見えますが、選び方はそれほど複雑ではありません。

まず、データが計量値か計数値かを分けます。

計量値なら、群で取っているか、1個ずつ取っているかを考えます。

計数値なら、不良品を数えているのか、欠点を数えているのかを考えます。

そのうえで、サンプルサイズや検査単位が一定かどうかを見れば、使う管理図を選びやすくなります。

特に、最初に覚えるべきなのは次の6つです。

管理図覚え方
$\bar{X}$-$R$管理図測定値を群で取り、平均と範囲を見る
$X$-$R_s$管理図測定値を1個ずつ取り、個々の値と移動範囲を見る
$p$管理図不良率を見る
$np$管理図不良品数を見る
$c$管理図欠点数を見る
$u$管理図単位あたり欠点数を見る

管理図の名前を丸暗記するよりも、「何のデータを、どの単位で見ているのか」を考える方が理解しやすいです。

管理図は、工程の異常を早く見つけるための道具です。

それぞれの違いを理解して、データの種類に合った管理図を選ぶことが大切です。

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